2006年08月
2006年08月31日
年金マネジメント・イノベーション―プランスポンサーによる年金ALM |アルンS. ムラリダール
年金マネジメント・イノベーション―プランスポンサーによる年金ALM
アルンS. ムラリダール
金融財政事情研究会 刊
発売日 2005-05
今までにはない切り口の良著 2005-06-10
日本では、年金の運用管理は従来リターン競争的な側面があったが、本来それは各企業のリスク選好や負債特性によるべきものであり、たとえばリターンの絶対値を漠然と横比較することはあまり意味がない。近年の運用環境悪化に伴い、リターンを期待しヘッジファンドや不動産に高いリスクだと認識せずに投資した結果、大幅な費用認識や追加の資金補填を余儀なくされたり、極端な結果として年金制度を廃止するケースも散見される。本来、年金は人事戦略の1つであり、重要なのは、いかに将来に亘り安定した制度を運営するか、ということである。これは、年金債務を意識した、まさに本著のテーマであるALMなくしては達成し得ない。この、極めて当り前な根源的目的を再認識させてくれ、且つ実践的な指針も提供してくれる良著だと思う。前半は、企業経営者なども知っておくべき政策的な側面、一方、後半には技術的・学術的な解説も網羅されている。年金運用に携わる者、特に副題にもある通り、プランスポンサーにとって、今まで漠然と悩んできたことに対する解を導く指南書である。この本を翻訳したソニーの方々には、「よくぞこの本を見つけ出してくれた」と、同じ年金運用に携わる者として、最大限の賛辞を送りたい。引き続き日本の年金管理の考え方・手法につき先行的に取り組み、我々をリードしていってもらいたいものである。本当に、大変なご苦労をされて、世に出されたんだと推察します。
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年金の悲劇―老後の安心はなぜ消えたか |岩瀬 達哉
年金の悲劇―老後の安心はなぜ消えたか
岩瀬 達哉
講談社 刊
発売日 2004-04
反社会的「社会保険庁」の実態 2006-03-21
本書に実名で登場する年金官僚の洗練されたウソ術は、本業の詐欺師も舌を巻くのではないか。このようなマフィア化した連中による、人々を煙に巻く言葉術を研究、検証する事は国益につながるであろう。実際、アメリカでは同様の理由により分かりやすいプレイン・イングリッシュの使用が政府職員等に義務付けられている。
現時点では、年金を払う者は、そのシステム自体を監視、改善する義務もワンセットになっていると解する他はない。
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銀行窓販のための保険販売に強くなる本―生保・損保・簡保・共済のアドバイスのポイント |赤堀 勝彦
銀行窓販のための保険販売に強くなる本―生保・損保・簡保・共済のアドバイスのポイント
赤堀 勝彦
金融ブックス 刊
発売日 2004-11
窓販特化本に非ず、あくまでも商品解説書 2006-12-01
「どうせ銀行窓販が解禁されたってんで出した便乗本だろ?」とタカをくくっていたのだが、意外や意外、生保・損保商品の解説書としては良く整理されている。それもそのはず、本書は同じ著者による「保険のしくみがわかる本」の改訂版的な位置付けで、旧版に「保険窓販」「コンプライアンス」の章を追加した構成(そういう意味では「便乗」との指摘はあながち的外れでもない)。また、この種の書籍にしては簡保・共済(JA共済・全労済など)に関する解説が手厚いのが特徴。本書を読んで窓口での販売実績が伸びるかはともかく、商品知識の整理には有用。なお文体は無味乾燥なため通読するよりは辞書的に参照する使い方がベターかも。
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年金制度の改善プラン |木原 俊夫
年金制度の改善プラン
木原 俊夫
中央経済社 刊
発売日 1998-03
“税法”の視点から見た年金制度 2006-08-23
保険会社出身の税理士による年金の解説書。税理士が著しただけあって年金税制に関する記述が手厚いのは勿論だが、わが国の年金制度を「税法」の視点から分類・解説している手法は斬新。また、個人年金に関する記述が厚いほか、特退共や小規模企業共済といったマイナー制度にも広く言及しているのも特徴。1998年の刊行とやや古くなったものの、年金業界にどっぷり浸かった向きにとっては新たな視点が得られること請け合い。
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年金の誤解―無責任な年金批判を斬る |堀 勝洋
年金の誤解―無責任な年金批判を斬る
堀 勝洋
東洋経済新報社 刊
発売日 2005-02
正統的・体制的ゆえに耳目を集めきれなかった悲劇の書 2007-05-16
社会保障審議会の委員を務める大学教授が、無責任かつ扇動的な年金批判に反論するべく、満を持して世に問うた渾身の一冊!
──となる筈だったが、その教科書的な面白みの無い文体が災いしてか、残念ながら、センセーショナルな年金報道に躍らされた一般市民の誤解を解くには至らず。それどころか、体制賛美的な姿勢と元厚生官僚という経歴を逆手に取られ、すっかり「御用学者の戯言」というレッテルを貼られてしまった悲劇の書(汗)。議論が盛り上がる法案審議時に刊行しなかったのがそもそもの敗因か。
とはいえ、無責任かつ扇動的な年金批判への反論はおおむね正鵠を射ており、2004年改正の意義と考え方を知る上では良い教科書である。前回改正から時を置いた今こそ、冷静になって本書を紐解いてみると、新たな知啓が得られることだろう。なお各論に関する個人的見解は以下の通り。
・賦課方式と積立方式を混同した財政比較は無意味との指摘は、至極ごもっとも。だからといって「賦課方式に財政検証は不要」と言い切るのは暴論だが。
・年金制度は"政治的に"崩壊させられないとの指摘は、確かにその通り。
・「労使折半で保険料はお得」との指摘には何故か批判が多いが、仮に事業主負担が廃止されても、企業がその分を給与に上乗せしてくれるとは到底思えない。
徴収システムとして考えると、労使折半は秀逸な制度ではないか。お得との指摘はあながち的外れではない。
・「マクロ経済スライドは公的年金のインフレヘッジ機能を損う」等といった、2004年改正の問題点についても触れて欲しかった。
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年金2008年問題―市場を歪める巨大資金 |玉木 伸介
年金2008年問題―市場を歪める巨大資金
玉木 伸介
日本経済新聞社 刊
発売日 2004-08
公的年金の積立金と運用を論じる。海外事例が豊富で興味深い。 2005-01-08
公的年金の資金は約150兆あるが、2008年になると財投での運用がなくなり、財投債と市場運用になる。本書は2008年を見据えて公的年金が積立金を持つ意義および公的年金の運用について海外との比較を行いながら論じたものである。米国・カナダ・アイルランドの考え方がわかる。例えば米国ではグリーンスパンの反対があって公的年金での株式運用は行われていない。
日本では平成16年の法改正によって公的年金の財政の考え方が永久均衡方式から有限均衡方式に変更されたため公的年金の運用資産が将来は大幅に減るのだが、この点に触れていない点が惜しい。
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